【ホットスポット ネットワークでつくる放射能汚染地図】NHK ETV特集取材班

ホットスポット ネットワークでつくる放射能汚染地図

NHK・ETV特集で昨年放映された「ネットワークでつくる放射能汚染地図」の記者たちが番組制作の裏側を語る。

この番組の放映は、5月15日・日曜日だった。福島第一原子力発電所の事故から2ヶ月が経った頃である。
この番組が放映されるまで、これほどはっきりとした放射能汚染の測定値は、メディアに上がっていなかったと思う。
だから、この番組を見たとき、「ついに出たか」とテレビにかじりついた。この放送の翌週から、他のテレビ番組で扱われる放射能汚染の数値に関する内容も大きく変わっていったような覚えがある。

今思えば、あれだけ情報が出てこなかったのは、異常だったと思う。
科学技術の発達した国、安全管理の行き届いた国に住んでいると思っていたのに。

今年の春この本を見つけたときは、あの状況下、スタッフがどのようにしてあの番組の放映までたどり着いたのか知りたくて、即購入。
それから4ヶ月たった今、こうして感想を書いていると、大飯原発再稼働が信じられないような思いがする。
原発ゼロがすぐ出来るとは思わないけれど、あまりに簡単すぎないだろうか。

3万羽の鶏を失ってしまった養鶏農家の人、五代も続いた馬の育成牧場を諦めた父子、飯館村の農家の青年、高濃度汚染地帯に取り残されていた、避難者の人たち。
あのとき番組で見た人たちのことを思い出すと、もっと考えなくてはいけないことが、たくさんあるはずだと改めて思う。

(2012.3月5日読了・7月7日再読)

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【モルフェウスの領域】海堂尊

モルフェウスの領域
桜宮市・未来医学探究センターの地下で、5年間のコールドスリープに入った少年と、
その眠りをを見守り続けた非常勤担当官の日比野涼子。
少年は、病による眼球摘出を目の前に、治療法の確立を待つために、
コールドスリープに入ることを決意した。
間もなくコールドスリープの5年が終わり、少年の目覚めが近づいている。
国内初、そして最後のコールドスリーパーとなる少年。
目覚めた後には何が待ち受けているのか…。

少年の眠りを見守り続けた涼子は、彼を守るために行動を開始する。
静謐で神話めいた眠る少年。かなりフシギな涼子の性格と経歴。
現実感のない舞台だが、実際には法律やら世論やらの雑音に囲まれている。
行政のご都合主義に翻弄される医療現場、海堂氏はここでも吠えている。
前半に出てくる『14歳のレティノですって?』という涼子の疑問が、ものすごーく気になったのですが、この本ではここまででした。

ということは、レティノブラストーマは、幼児期の病気なの?え??
必ず何か仕込んできますねえ。桜宮シリーズは。

(2012.2月14日読了)

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【森見登美彦の京都ぐるぐる案内】森見登美彦

京都ぐるぐる案内
神社仏閣だけではない京都の旅がしたい人には、うってつけの本。
京都って町は、町なかをふらふらするのも、とても楽しいのだ。
あちこちの街角や名所、店に出没する森見さんの写真もかわいらしい。
慣れないことをやってみましたって感じがいい。
ガイドブックとしては読む部分が多いし、写真もきれい。
次回京都に行くときは、ぜひ、お供に連れて行きたい。

(2011.読んだ時期が不明となってしまいました;)

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【下流の宴】林真理子

下流の宴
福原由美子は、20歳になる1人息子に悩んでいた。
それなりの私立中学に入学させた息子が、まさかの高校中退。
その後アルバイトをしたりしていたが、ついに家出、同棲を始めた。
相手は22歳の沖縄の離島出身、高卒、両親は飲み屋を経営しているという。
自分の目論見とはまるで違う人生を歩もうとしている息子に、由美子はパニックを起こしかけていた。
上昇志向の由美子の学歴やら職業に対する偏見っぷりもなかなかだが、
息子・翔くんのヤル気のなさがスゴすぎて、由美子に同情してしまう。
同棲相手のなんとかなるさタイプの珠緒でさえ、翔くんに「もうちょっと将来を考えようよ」とついつい言ってしまうほどだ。

その後、珠緒と引き合わされた由美子は、珠緒を実家ごと罵倒する。
怒った珠緒は、由美子に「そんなに医学部がエラいなら、私が医学部に合格してみせる。医学部に入ったら、翔くんと結婚する」と宣言。
いくらなんでも医学部はムリでしょうと周囲に言われながらも、珠緒は結婚を目指して、猛然と受験勉強を開始する。
必死で勉強をする珠緒のそばで、翔くんは一生懸命彼女を支える。
心優しくまじめで礼儀正しく、そして、まるで先に進もうとする気持ちのない翔くん……。どうなるんだ、翔くん……。

ドラマで見て面白かったので、読みました。
ドラマも小説もストーリーは同じですが、ドラマの方が暖かみのあるラストになっているかな。
この小説の連載は2009年、その頃はまだ、翔くんタイプの若者って少なかったと思う。それがここ1年で当たり前になってきているような…。
由美子の教育ママぶりがおかしくて読んだけれど、翔くんという新しいタイプの人間を書いたところに、林真理子のすごさを感じてしまいました。
(2011.7月28日読了)

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【神の子どもたちはみな踊る】村上春樹

神の子どもたちはみな踊る
連作『地震のあとで』 その一〜その六
副題にある「地震」は1995年1月の阪神淡路大震災。
この連作のなかで最も早いものが1999年なので、じっくり熟成されてから書かれたもののようだ。
じんわりと不安に包まれていて、どこか生暖かい感じがする6つの小説。
阪神淡路大震災は、被災地からの距離のせいなのか、自分に影響がどう及ぶか分からない放射能のせいなのか、今回の東日本大震災とは、まるで違う手触りを受けている。
たしかに、この連作からは、当時の匂いが伝わってくる気がした。
この連作のなかで特に分かりにくかったのは、「かえるくん、東京を救う」だ。
かえるくんが地下にいるみみずくんと闘い、東京を震災から守るという話。
主人公の片桐(マジメで地味な信用金庫の融資係)は、ある夜、かえるくんの闘いを助ける。ということになっている。
けれど、闘いそのものが不明瞭だし、片桐がどう助けたのかも、片桐自身がわからない。
でも、なぜか彼らに共感できたような読後感。
みみずくんはなんだったのだろう。みみずくんは確かにいるような気がする。それは人によって違うかたちで現れてくる「みみずくん」なのだろうか。
どこかにいて、どこかで起きたことで、なにかを受けとる。
あらゆる事件や災害がそうであるように。
(2011.7月25日読了)

というわけで、1Q84を解明しようと三冊の春樹本を読んだのですが、
分かったかと訊かれると、まあ何の進展もなかったです。
でも、偶然去年これを読んだことは、なにか価値があったような…気がしています。

カテゴリー:村上春樹

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