佐々木譲

【廃墟に乞う】佐々木譲

廃墟に乞う
オージー好みの村/廃墟に乞う/兄の想い/消えた娘/博労沢の殺人/復帰する朝
道警本部刑事部の仙堂は3年前に起きた事件の精神的後遺症のため、
1年近く療養生活を続けている。
仕事の一切を休み、月に一度の心療内科での診察のほか、暇をもてあましている。
回復の兆しを見せてはいても、発作の再発が気にかかる仙堂だが、
事件の相談をもちかけられたり、以前関わった犯罪者のその後を気にかけたりと、
結局、事件現場に足を運んでは、私的に捜査をすすめることになる。
私的な捜査という点で【制服捜査】の川久保巡査と、捜査への関与が制約されるところが共通している。その分だけ、警察組織にいるときよりも、犯人や被害者の心情に近いところにあり、事件の持つ切なさや割り切れなさがクローズアップされる。
「オージー好みの村」は軽い感じで肩すかしをくうが、ほかはずーんと胸に迫ってくる。
暗い過去をもつ青年の決断を描いた「廃墟に乞う」、
因果応報といってしまうにはあまりに悲しい「博労沢の殺人」など、切ない佐々木節を満喫。
(2010.4月17日読了)

佐々木譲

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【北帰行】佐々木譲

北帰行
ロシア人の出稼ぎ娼婦が、六本木のヤクザの組長に殺された。
その報復のためにロシアン・マフィアが送り込んだスナイパー、ターニャ・クリヤカワ。
旅行代理店の関口は、何も知らずに彼女をアテンドするはめになる。
組長を狙撃したターニャは、関口を巻き込んで、逃走。
ふたりを執拗に追いかける、ヤクザの子分・藤倉。
抗争を収めるため、事件を追う警視庁の寒河江。
東京から新潟、そして稚内へと、逃走劇は急展開していく。

ロシアときくと、期待値がぐーんとあがります。しかも佐々木譲。
けれど、この話は、期待のロシアの匂いはしても、濃度は薄め。
新潟のロシアン・コリアン・マフィアのソーバリがもっと活躍すれば嬉しかったかも。
稚内のロシアン・マフィアにも、もっと出てきてほしかった。
(2010.3月11日読了)

佐々木譲

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【制服捜査】佐々木譲

制服捜査
道警の不祥事を受けた大移動で、札幌の刑事課から十勝平野の小さな町の駐在所に移動となった川久保巡査。
逸脱 / 遺恨 / 割れガラス / 感知器  / 仮装祭
五つの短編の中で起こる、それぞれの事件。
表面上はのどかで平和な田舎町の隠された姿を、元刑事の勘が探り当ててゆく。

次第にハードになってゆく田舎町の事件。そのなかで、ホロリとさせられる川久保巡査の情の篤さ。巡査という立場ゆえ、表立った捜査ができない川久保巡査。それでも、真相究明に動こうとする。最後の「仮装祭」で、まさに「仮装」していた町の有力者たちの姿には驚かされた。

この川久保巡査の話は【暴雪圏】へと続いていく。
あいかわらず、事前の情報収集がなってなくて、読む順序が逆でしたが、【暴雪圏】と【制服捜査】では面白さのツボが違っていました。
こちらの方は社会派、【暴雪圏】はサスペンスですね。
(2009.1月25日読了)

佐々木譲

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【暴雪圏】佐々木譲

暴雪圏
春を目の前にした3月。十勝平野の小さな町。午後からの爆弾低気圧到来の予報。
その朝、志茂別町駐在所勤務の川久保巡査部長に、町外れで遺体発見との一報が入る。
そして天候の悪化とともに、次々と発生する事件。
暴力団組長宅を襲った2人の強盗、不倫中のカップル、会社の金を横領した男、家出少女、、、
あらゆるものが雪に閉ざされていき、町外れのペンションに事情を抱えた人間たちが集約する。

手に汗握る感じでいっきに読んでしまった。ドキドキの展開の主人公は、雪と風。
朝から夕方になるにつれて猛威を増し、ついに戸外に出ることもできなくなる。
もちろん車も使えない。閉じ込められれば、凍死もまぬがれない。
そのなかで事件が進行していくので、ドキドキしてしまうのだ。うまいなあ、この設定。

志茂別町駐在所勤務・川久保巡査部長のシリーズ2冊目。
1冊目の【制服捜査】も予約入れました。
(2009.12月28日読了)

佐々木譲

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【警官の血 上・下】佐々木譲

警官の血 上巻
警官の血 下巻

戦後の混乱期、生活のために警察官となった安城忠雄。
しかし望んでいた駐在所勤務がかなって間もなく、忠雄は謎の死を遂げる。
父の背を追うように警察官となった息子の民雄、その息子和也の3代にわたる警察官の物語。

戦後の混乱期から、60年代の赤軍派の闘争、現在の企業犯罪に至るまで、
犯罪の質が変化していく中で、それを追う人間の内面を描いている。
犯罪を追う警察官は、常に犯罪と隣あわせ。ときには、犯罪者そのものに限りなく近づくことも。
心の中に響く「ホイッスル」の「吹鳴」が切ない。
3代にわたる警官が、同じ正義に根ざしながら、それぞれの個性を見せてくれます。
(8月4日読了)

佐々木譲

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