冲方丁

【天地明察】冲方丁

天地明察
徳川四代将軍・家綱の時代、武士を中心とした改暦のプロジェクトが起ち上がった。その中心人物として白羽の矢を立てられた碁打ちの渋川春海と、改暦に情熱を注いだ幕閣、学者たちの物語である。
暦は、天体の動きを正確に予測したうえで作られる。
この時代、地球は太陽の周りを正円に沿って動いていると信じられていたが、春海は観測記録と算術とで、楕円を描きながら移動していることを解明。より正確な暦をつくることに成功した。
さらに、政治的な面でも改暦に向けての策略を練り、様々な根回しの上で改暦を実現させてゆく。この本の中では、涙もろく可愛らしい人間として描かれている春海だが、なかなかしたたかな実力者だ。
この大プロジェクトは、もちろん春海がひとりで成し遂げたことではない。
暦の作成には学者たちの探究心、政治的には幕府から文化的な事業を起こしたいという幕閣たちの願いがあり、失敗を重ねながらも進んでゆくことができた。
春海は江戸城の碁打ち衆を勤めていた。近代囲碁の祖と言われる本因坊道策も春海の同僚。
次第に閉塞感を増していく時代のなかで、突破口を見いだそうとする人たちの情熱が爽やかだった。
(2010.7月25日読了)

冲方丁

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