角田光代

【森に眠る魚】角田光代

森に眠る魚
図書館に予約したこともすっかり忘れた頃に届いた本。
どうして読もうと思ったんだっけと読み始め、、、

幼稚園の入園をきっかけに出会う、母親たち。
どの母親もごく普通の女性、子どもに対する考え方もきちんとしている。
それなのに「お受験」を前にして、彼女たちの気持ちは大きく揺れ、友人だと思っていた他の母親とすれ違うことで、しだいに攻撃的な気持ちを募らせていく。

10年以上前に起きた事件をベースに、当事者たちの感情を小説として再構築している。
ドロドロしていて、ぐったりさせられる恐ろしさがある。
【揺りかごの上で】の少年といい、【告白】に登場する母親といい、
子どもを育てる母性がもつ感情は、ホラーのようになるものなんだろうか。
それでもこの話には最後に救いがある。ここから抜け出す出口を見せてくれる。

この世界は私も経験があります。
「お受験」の枠外にあった親子でしたが、周囲がきな臭い時期があり、思い返してもほんとうに怖かったです。
こんなの信じられないといえる人が、今でも羨ましいです。
(2010.2月27日読了)

角田光代

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【夜をゆく飛行機】角田光代

夜をゆく飛行機
東京郊外のさびれかけた商店街にある、昔ながらの店「谷島酒店」。
父と母、四人娘の谷島家の、ターニングポイントの1年間。
仲良しだった叔母の死、祖母の入院、変わり者の次女の作家デビュー、、、
家族が失くしていくもの、いつの間にか変わってしまう日常が、
四女・里々子を通して、じれったく、優しく、騒々しく描かれる。

うまくいくことばかりじゃなく、失うものを思い切るのは難しく、
どこにでもいるような谷島家の人たちの風景が、自分のもののように感じられました。
独特の情景の切りとり方の巧さに、暖かな空気が流れていて、
ようやく読みたかった角田さんの文章に出会えた一冊です。
(2009.6月22日読了)

角田光代

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【この本が世界に存在することに】角田光代

この本が世界に存在することに
一冊の本をめぐって起きる出来事をえがいた、9つの短編集。
思いがけない場所で出会う、かつて自分のものだった本。
口の悪い祖母から、探し出すよう頼まれた古い本。。。
本が、新たな出会いをもたらしたり、自分と向き合うきっかけとなったりする。

私には、そんなオチのついた小説のような事件はないけれど、
一冊の本がもたらしてくれる、不思議な巡り合いは、なんとなく分かる。

シカフとも、ふたりで同じ本を読んだりしますが、
お互いに◎だった本でも、好きのポイントがずれていたり、
逆に、そうそうそう、そうなのよッと、相方のレビューに膝を打ってみたり。
シカフ再発見、ということが、結構あります。
そんなふうに、ちょっとした何かをもたらしてくれる、、、本ってオモシロいものです。
(2009.6月6日読了)

角田光代

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【対岸の彼女】角田光代

対岸の彼女
幼い娘との公園めぐり、なかなか人の輪に入っていくことができない小夜子は、
娘を保育園に預けて、働きに出ることを決めた。
ようやく採用が決まった会社の社長は、同い年の女性。
快活で奔放な女社長に惹かれる小夜子だったが、
彼女にも、人間関係で苦い経験をした過去があった。

身近な悩みを語る小説って、やっぱり苦手かも〜と思いながら読んだのですが、
ラストが良かったです。 あー大丈夫なんだね、とホッとしました。
(2009.5月11日読了)

角田光代

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【八日目の蝉】角田光代

八日目の蝉
不倫相手の家に忍び込んだ希和子は、
寝かされていた赤ん坊を衝動的に連れ去ってしまう。
赤ん坊との4年に及んだ逃亡生活は、小豆島での幸せな生活を最後にピリオドをうつ。
17年後、自分の居場所をつかめないまま成長したその子どもは…

たまたま読んだエッセイで、角田光代氏の文章のうまさに惹かれて読んでみました。
関わる人々との間に、様々なかたちで形成される「家族」。
「家族」に縛られ、うまく関係をつくれないまま、もがきながら暮らしていく、、、
ラストで歳をとった希和子が見た風景、光の描写が心に残ります。

小豆島もいいねー。行ってみたいなあ。
(2009.3月14日読了)

角田光代

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