ジョゼ・サラマーゴ

【白の闇】ジョゼ・サラマーゴ

白の闇
なんの予兆もなく、ある瞬間に視界が真っ白になってしまった男。
原因不明の失明は、またたく間に広がっていった。
この「伝染病」を食い止めるため、失明した人々は、かつての精神病院に強制収用される。
そこで起きる悲惨な事件の数々。 しかし、この「病気」は原因不明のまま、広がり続け、
すべての人々が、乳白色の世界に閉じ込められていく。

登場人物たちの名前は、いっさい出てこない。
医者(眼科医)、医者の妻、最初に失明した男、その妻、サングラスの少女、黒い眼帯の老人、
斜視の少年、そして、涙の犬。
医者の妻だけが、視力を失うことがなく、この物語の主役となっている。
彼女のあとを追う「涙の犬」は、わずかに残る人間性の象徴のようだ。
混乱した人々が理性を捨てて生きていく凄絶な世界が、圧倒的な想像力で描かれ、
活字を追っているにも関わらず、自分の目も見えなくなった気さえしてくる。
「ここから出してくれ〜」と叫びだしそうだった。

ノーベル文学賞受賞者・ポルトガルの作家、サラマーゴの作品。
映画化された「ブラインドネス」は今月中旬から公開。
でも、画像を見るとずいぶんキレイに撮っている。原作の世界はもっと凄惨でした。
(2008.11月9日読了)

ジョゼ・サラマーゴ

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