【アンダーグラウンド】村上春樹

村上春樹全作品 1990~2000 第6巻 アンダーグラウンド
昨年読んだ【1Q84】がどうにも理解ができなかったので、過去の村上作品を読んでみることにしました。まずは、宗教団体「さきがけ」がオウム真理教をベースにしているようなので、この【アンダーグラウンド】。本の厚さにびびりましたが、すらすらと読めました。
地下鉄サリン事件に遭遇した人たちを、たんねんに探し出し、インタビューをとる。
事件の被害者をさがす段階で「村上春樹の取材に協力を」という呼びかけをせずに、草の根を分けていくような方法で「事件に遭遇した人」を探し出す。根気のいる、とほうも無い作業だ。
被害者からの事件のインタビューのまとめ、というより、あのとき事件が起こった空間にいた人たちから話を聞き、事件の背景であった当時東京にいた人々の内側にあった流れを再構築する、という試みのようだった。
「たまたま」その電車に乗っていた人、駅に居合わせた人。被害の程度もまちまちだ。
彼らの生い立ちからはじまり、そこにいた理由、その後の行動、オウムに対する心情が語られてゆく。
さまざまな人々が集まって、当時の東京がつくられていたのだ。
オウム真理教は、私たちごく普通に生活している人々の中から生まれたことを感じさせられる。
驚いたのが、事件発生当時、倒れ込む人と異臭とを関連づけて、なんらかの有毒ガスが発生していることを把握していた人が本当に少なかったこと。
今、放射能騒ぎがずっと続いているけれど、状況を把握するのは本当に難しいことなんだなと思う。当事者だと、自分は安全だと信じたい方に、大きくバイアスがかかるものだなと。
あとで俯瞰してみると、なぜあのとき分からなかったのか、と思うけれど、やっぱり分からないものですね。
(2011.7月3日読了)

半年前の自分の文章を読んで、やはり今は今で状況がわからないな、と。
公表される数字はとりあえず信じてるんですが、公表されない部分でどんでん返しがありませんように、と祈ってる感じですかね。

村上春樹

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  1. トラックバック: 観・読・聴・験 備忘録

    『アンダーグラウンド』

    村上春樹 『アンダーグラウンド』(講談社文庫)、読了。
    地下鉄サリン事件の被害者の方達へのインタビュー。
    事件の異様さとそれに遭遇された方達の…

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